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グリム童話: 子供たちと家庭の童話
グリム童話の一覧 (ページ 6)
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熊の皮
昔、兵士になり、勇敢に戦い、弾が雨あられと降る中でいつも先頭にたっていた若い男がいました。戦争が続いていた間は万事うまくいっていましたが、平和になるとクビを切られ、隊長が「好きなところへ行ってよいぞ。」と言いました。両親は死んでいて、もう家がなく、それで兄たちのところへ行って、戦争が始まるまで自分を置いて養ってほしいと頼みました。しかし、兄たちは心が冷たく、「おれたちがお前に何をしてやれるってんだ?お前は何の役にも立たない。行って自分でかせげよ。」と言いました。兵士には銃しか残っていなかったので、その銃を肩にかけ、世間に出て行きました。 兵士は広い荒野に来ました。そこには円になった木々以外何も見えませんでした。兵士はその木々の下に悲しげに腰を下ろし、自分の運命について考え始めました。(金はないし、戦うことの他は何も仕事を覚えなかったしなあ。平和になっちゃったらもうおれは要らないよな。この先飢え死にしちゃうって今からわかるよな。)と思いました。突然ガサガサという音が聞こえ、兵士が見回すと、目の前に見知らぬ男が立っていました。その男は緑の上着を着て本当に立派にみえましたが、忌わしいひづめの
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102
みそさざいと熊
夏のあるとき、熊と狼が森の中を歩いていました。すると熊が小鳥のきれいな鳴き声を聞いて、「狼兄い、あんなに上手に鳴いているのは何の鳥かな?」と言いました。「あれは鳥の王様だよ。」と狼は言いました。「あの鳥の前にでたらおれたちはお辞儀をしなきゃならん。」本当はその鳥はみそさざいでした。「そういうことなら」と熊は言いました。「是非その王宮をみたいものだ。さあ、そこへ連れて行ってくれ。」「君が思うようにはいかないよ」と狼は言いました。「お后さまが来るまで待たなくちゃいけないんだ。」そのあとまもなく、お后がくちばしに食べ物をくわえて帰ってきて、王様も帰り、二人で幼いこどもたちにえさをやり始めました。熊はすぐにも行きたかったのですが、狼が袖をつかんでひきとめて、「だめだよ、王様とお后さまがまたでかけるまで待たなくちゃいけないよ。」と言いました。それで巣がある穴をよくおぼえてから、立ち去りました。 ところが熊は王宮を見るまで落ち着かなくて、少し経つとまたそこへ行ってみました。王様とお后さまはちょうど飛び立ったところだったので、熊が覗きこむと5,6羽のひながそこにいるのが見えました。「これが王宮?」と
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103
おいしいお粥
母親と二人だけで暮らしている、貧しいけれど心のやさしい女の子がいました。二人にはもう食べるものがなくなったので、子供は森へ入って行き、そこでおばあさんと出会いました。おばあさんは子供の悲しみを知って、ちいさな壺をあげました。その壺は「煮て、壺よ、煮て」と言えば、良いおいしいおかゆを作り、「止まって、壺よ、止まって」と言えば作るのをやめるのです。女の子はそのつぼを母親のところに持って帰り、もう貧乏と空腹から救われ、好きなだけおいしいおかゆを食べました。 女の子がでかけていたあるとき、母親は「煮て、壺よ、煮て」と言いました。それで壺は煮て、母親は満腹するまで食べました。それで壺に作るのを止めて欲しかったのですが、言葉を知りませんでした。それで壺はどんどん作り続け、おかゆがふちをこえてあふれてきました。それでも作り続け、台所と家中がいっぱいになりました。それから、隣の家が、それから通りが、いっぱいになり、まるで世界中の空腹を満たしたいかのようでした。とても困りましたが、だれも壺の止め方を知りませんでした。 とうとうただ一つの家が残ったとき、子供が帰ってきて、「止まって、壺よ、止まって」と言い
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賢い人々
ある日、お百姓が隅からはしばみの棒をとり出しておかみさんに、「トリーナ、おれはよそへ行って、三日戻らないから。その間に牛買いが訪ねてきて、うちの三頭の雌牛を買いたがったらすぐに売っていいよ。だが、200ターラー貰えなくちゃだめだぞ。それより安いのはだめだ。わかったか?」と言いました。「安心して行って。」とおかみさんは答えました。「ちゃんとやるから。」「そうだなあ。」と亭主は言いました。「お前は小さい時、頭から落ちて今でも影響してるからな。だが言っておくぞ。もしお前が馬鹿なことをしたら、お前の背中を青黒くしてやるぞ。ペンキでじゃなく、今手に持っている棒でだ。その色はまるまる一年は落ちないだろうよ。本当だぞ。」そう言った後、亭主は出かけて行きました。 次の朝、牛買いがやってきて、おかみさんはあまり言わなくても済みました。牛買いは雌牛をみて値段を聞くと、「それだけ喜んで出しましょう。正直言ってこの牛にはそれだけの値打ちがありますからね。すぐに牛たちを連れていきます。」と言いました。それで牛の鎖をはずすと牛小屋から追いたてました。しかし、今にも牛買いが庭の入口から出て行こうとしたとき、おかみさ
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蛇の話
第一話 昔、小さな子供がいて、母親は毎日午後に小鉢にパン入りミルクをあげていました。子供はその小鉢をもって中庭にいき座りました。ところが食べ始めると、一匹の蛇が壁の割れ目から這い出て、皿に小さな頭を突っ込み、子供と一緒に食べました。子供はこれを喜んで、そこに小皿を置いて座って蛇がすぐにやって来ないと、叫びました。 「蛇さん、蛇さん、早くおいで こっちへおいで、おチビちゃん パンをあげるよ ミルクを飲んで元気になあれ!」 すると蛇が大急ぎでやってきて、おいしそうに食べました。さらに、蛇はお礼の気持ちを示しました。というのは、子供に隠された宝物から、光る石、真珠、金のおもちゃなど、きれいなものをいろいろもってきたからです。ところが蛇はミルクだけ飲んで、パンは残しました。それである日、子供は小さなスプーンをとって、それで蛇の頭をやさしくたたきながら、「パンも食べるんだよ、おチビちゃん。」と言いました。台所にいた母親に、子供が誰かと話しているのが聞こえ、子供がスプーンで蛇をたたいているのを見ると、まきをもって駆けていき、仲よしのおチビちゃんを殺してしまいました。 その時から、子供が変になり始め
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貧乏な粉屋の若者と小猫
ある水車小屋に、妻も子供もいない年とった粉屋が住んでいて、三人の見習いがこの粉屋の下で働いていました。三人が何年かここで働いていたので、ある日粉屋は三人に、「私はもう年だから、隠居してストーブの後ろに座っていたい。出かけて行って、お前たちのうちで私に一番いい馬を持ち帰った者に、水車小屋をやろう。その代わり、私が死ぬまで面倒をみてもらうことにするよ。」と言いました。ところで、見習いのうち三番目はできが悪く他の二人から馬鹿だとみなされていました。二人はこの男に水車小屋を渡したくないと思いました。後になってその子は水車小屋を欲しいとすら思わなかったんですがね。そこで三人は一緒にでかけ、村に着くと、二人は間抜けなハンスに、「お前は生きてるうちに馬を手に入れられないだろうから、ここにいた方がいいぞ。」と言いました。しかし、ハンスは一緒に行きました。夜になるとほら穴に来て、三人はそこで横になり眠りました。二人のお利口な見習いはハンスが眠ってしまうのを見計らって立ちあがり、そこにハンスをおき去りにして行ってしまいました。二人はとてもうまいことやったぜと思ったのですが、あとでまずい結果になるのは確かで
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二人の旅人
山と谷は出会いませんが人の子供は出会います、良い人と悪い人がね。こういう風に靴屋と仕立て屋があるとき旅をしている途中で出会いました。仕立て屋はいつも陽気で明るいハンサムで小柄な男でした。仕立て屋は向こう側から靴屋が向かって来るのが見え、どんな仕事をしているのかかばんをみてわかったので、すこしからかって歌いました。「縫い目を作って、糸を引っぱって、タールを塗りたくり、頭に釘を打て」 ところが靴屋は冗談がわからなくて、酢を飲んだような顔をし、仕立て屋の喉につかみかかる身振りをしました。しかし、仕立て屋は笑いだし、酒のビンを渡し、「悪気はなかったんだ。まあ一杯やって、怒りを静めてくれよ。」と言いました。靴屋はぐうっと一飲みすると顔の怒りが消え始めました。靴屋は仕立て屋にビンを返し、「ああ、よく飲んだ。喉が渇いているからではなく大酒飲みだからたくさん飲むんだよな。一緒に旅をしようか?」と言いました。「いいとも。」と仕立て屋は答えました。「仕事にあぶれない大きな町に行くのでよければね。」「大きな町こそおれが行こうと思ってるところさ。」と靴屋は答えました。「小さな村じゃ稼ぐものがないし、田舎じゃ人
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ハンスぼっちゃんはりねずみ
昔、土地とお金がたくさんある村人がいました。しかし、どんなに裕福でも、この人の幸せにはまだ一つ不足したものがありました。子供がいなかったのです。他のお百姓たちと町へいくと、みんなはよくからかって、どうして子供がいないんだ?と聞きました。とうとうそのお百姓は怒って、家に着くと、「なんとしても子供がほしい、たとえはりねずみでもな。」と言いました。するとおかみさんに、体の上ははりねずみで下は人間の男の子が生まれました。おかみさんは子供を見ると、ぎょっとして、「ほら見てごらん、あんたが変なことを願うからよ。」と言いました。するとお百姓は、「もうどうしようもないじゃないか。この子に洗礼させて名前をつけなくちゃならないんだが、名付け親になってくれる人は見つからないだろうな。」と言いました。おかみさんは、「じゃあ、はりねずみハンスと呼ぶしかないわ。」と言いました。 洗礼を受けたとき、牧師は「針があるから普通のベッドには寝れないね。」と言いました。それでストーブのうしろに少しわらを敷いてはりねずみハンスをそこにねかせました。母親はお乳をあげられませんでした、というのは針で刺してしまったでしょうから。そ
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きょうかたびら
かつて、7歳の男の子がいる母親がいました。その子はとても美しくて愛らしいので見る人は誰でもその子を好きになりました。また、母親自身もこの世の何よりもこの子を大事にして可愛がっておりました。ところが、男の子が急に病気になり、神様がこの子をひきとりました。このため母親は悲しみがいやされないで昼も夜も泣き通しでした。しかし、それからまもなく、子供が埋められたあと、生きていたときにいた場所や遊んだ場所に子供が出てきました。そして母親が泣くとその子も泣き、朝がくると消えました。 しかし、母親は泣きやまず、子供はある夜、ひつぎの中におさめられたとき着ていた小さな白い経帷子を着て、頭の周りに花の輪をつけて、やって来て、母親のベッドのそばに立ち、「ああ、おかあさん、お願いだから泣くのを止めて。そうしないと僕はお棺の中で眠れないんだよ。たっておかあさんの涙が落ちるから僕の経帷子が乾くことがないんだもの。」と言いました。母親はそれを聞いて心配になり、もう泣きませんでした。 次の夜、子供が手に小さな明かりを握ってまた来て、「ほら、おかあさん、僕の経帷子はだいぶ乾いたよ。だからお墓で眠れるよ。」と言いました。
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いばらの中のユダヤ人
昔、金持ちの男がいました。その男には真面目によく働いて仕えた下男がいました。この下男は毎朝一番先に起きて、夜一番あとに休んで寝ました。誰も引き受けたがらない難しい仕事があるときはいつも、この下男が一番先にとりかかりました。それだけでなく、決して文句を言わないで何でも満足し、いつもほがらかでした。 一年の務めが終わったとき主人は下男に手当てを出しませんでした。というのは(これが一番賢いやり方だわい。金を節約できるし、あいつは出ていかないで黙って務めるだろうからな)と思ったのです。下男は何も言わないで一年目と同じように二年目も仕事をしました。それで二年目の終りにも手当てを受け取りませんでしたが、楽しそうにしてやはりとどまって務め続けました。 三年目も過ぎたとき、主人は考えて、ポケットに手をつっこみましたが、何もとりだしませんでした。するととうとう下男が、「だんなさん、私は三年間真面目に務めました、お願いですから、その分のお手当をください。私は出ていってもう少し世間を見てまわりたいのです。」と言いました。 「いいとも、そうだな」と年とったけちんぼは答えました。「お前はよく務めてくれたよ、だか
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腕のいい狩人
昔、錠前屋の仕事を習い覚えた若い男がいて、父親に、もう世間に出て運を試してみる、と言いました。「よかろう。わしもそれに賛成だ。」と父親は言って、旅のお金をいくらか渡しました。そこで若い男はあちこち旅をして仕事を探しました。しばらくして男は錠前屋の仕事はもうやめようと決めました。というのはもうその仕事が好きでなくなって猟師になりたかったからです。 男があてもなく歩いていると緑の服を着た猟師と出会いました。猟師は、お前はどこから来たんだ?どこへ行くんだい?と尋ねました。若者は、私は錠前屋の職人なのですが、その仕事はもう面白くないので猟師になりたいのです、私に教えてもらえませんか、と言いました。「ああ、いいとも」と猟師は言いました。「おれと一緒に来るならね。」そこで若者は猟師と一緒に行き、そこで何年か修業をつみ、猟師のわざを習いました。このあと、若者はよそで運を試してみたいと思いました。猟師は一丁の空気銃の他は何も支払ってくれませんでしたが、その銃は撃つと必ず当たるという性質がありました。そこで若者はでかけていき、とても大きな森に着き、一日で森のはずれにたどりつけませんでした。夜になると若者
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天のからさお
昔、ある田舎の人が二頭の雄牛で畑を耕しにでかけました。畑へ着くと、牛の角が二頭とも伸び出して、伸び続けました。それで、お百姓が家へ入ろうとしたとき、角が大きすぎて、牛たちが門を通れませんでした。運よく肉屋がちょうどそのとき通りがかり、お百姓は牛を渡し、次のように取引しました。お百姓は肉屋に一ペック(約9リットル)の菜種を持っていく、それで肉屋は種一粒あたりブラバントターレル銀貨を一枚をはらう、というものでした。それはうまく売ったと私は言いますよ。 さてお百姓は家へ帰り、一ペックの菜種を背負っていきました。ところが途中で袋から種を一粒落としました。肉屋はお百姓に取り決め通りきっちり払いました。もしお百姓がその種を失くさなかったらあと一ターレル多くもらったでしょう。お百姓が戻るまでに、その種から木が育ち、天まで届きました。それでお百姓は、(せっかくだから、上で天使たちが何をしてるかちょっくら見なくてはな)と思いました。 それでお百姓は登って行くと、上の天使たちがから竿でからす麦を打っているのが見え、見物していました。こうして見ていたら、自分の登っている木がぐらつき始めているのに気がつきまし
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王の子ふたり
昔、ある王様に小さな男の子がいて、その子の星まわりで16歳のときに牡鹿に殺されると予言されていました。それでその年になったあるとき、猟師たちが一緒に狩りに行きました。森で王様の息子は他の人たちと離ればなれになって、急に大きな牡鹿が見え撃ち殺そうとしましたが当たりませんでした。とうとう遠くまで牡鹿を追いかけてすっかり森から出てしまいました。すると突然牡鹿の代わりに大きな背の高い男がそこに立って言いました。「よし、つかまえた。お前を追いかけてガラスの靴を六足すり減らしてしまったのにお前をつかまえられなかったんだからな。」 それから男は王様の息子を連れて、大きな湖を引きずって大きな宮殿にいきました。王子は男と一緒に食卓に座り食べさせられました。一緒に食べ終わったとき、その王様は言いました。「わしには娘が三人いる。お前はひと晩一番上の娘の見張り番をしなければいけない。夜の九時から朝の三時までだ。時計の鐘が鳴るたびにわしは自分で行って呼ぶぞ。その時にお前が返事をしなかったら、明日の朝お前の命はない。だが、いつも返事をすれば娘をお前の妻にやろう。」 若い二人が寝室に行くと、聖クリストフォロスの石像
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賢いちびの仕立て屋の話
昔、とても高慢な王女がいて、求婚者が来ても、なぞを出して解けなければ馬鹿にして追い返しました。王女はまた、なぞを解いたら誰でも自分と結婚できる、誰でも来てよい、というお触れも出させました。そういうわけで、しまいには三人の仕立て屋がそろってやってきました。年上の二人は、手先を使う仕事をこれだけうまくたくさんこなしたのだから、これも必ずやり遂げられるさと自信満々でした。三人目はチビで役立たずのお調子者で、自分の仕事さえできなかったのですが、これで運が開けるに違いない、そうでなければ運はどこからくるというんだ?と考えていました。そのとき他の二人はチビの仕立て屋に、「家にいろよ。お前のちっぽけな頭の程度では大したことができないさ。」と言いました。しかし、チビの仕立て屋はやる気をなくさないで、一度これをやってみようと決めたんだからやってみせる、と言って、世界じゅうが自分のものとでもいうふうに意気揚々と出かけていきました。 三人とも王女に申し出て、どうぞなぞを出してください、今こそふさわしい人がやってまいりました、とても細やかな頭の働きがあるので針に糸を通せます、と言いました。すると王女は、「私の
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明るいお天道様は明るみに出す
仕立て屋の職人が仕事を探して世間を旅をして歩いていました。あるとき仕事が何もみつからなくて、とても貧しくなり、一文無しになってしまいました。まもなく道で一人のユダヤ人に出会い、金をたくさんもっているだろうと考え、神様を心から追い出し、ユダヤ人に襲いかかって、「金をよこせ。さもないとぶっ殺すぞ。」と言いました。するとユダヤ人は、「命ばかりはお助け下さい。お金は8ファージングしかもっていないのです。」と言いました。しかし、仕立て屋は「金は持ってるはずだ。出せ。」と言って、暴力をふるい、ユダヤ人が死にそうになるまでなぐりました。死にかかっているユダヤ人は最後に、「明るいお日様がこれを明るみに出すだろう。」と言って、死んでゆきました。仕立て屋の職人はユダヤ人の懐をさぐって、金をさがしましたが、ユダヤ人が言ったように8ファージングしかみつかりませんでした。それから職人はユダヤ人を持ち上げて、密集した木々のかげに運び、仕事を探しに旅を続けました。職人は長い間旅をした後、ある町の主人のところに仕事を見つけ、その主人の美しい娘と恋をし、結婚して、仲むつまじくしあわせに暮らしていました。 しばらくして、
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青いランプ
昔、ある兵士がいました。長年忠実に王様に仕えてきましたが、戦争が終わると、受けたたくさんの傷のためもう仕えることができなくなりました。王様は兵士に、「家に帰ってよろしい。もうお前は必要ない。金ももうやらんぞ。給金は見合う働きをした者だけ受けるのだからな。」と言いました。それで兵士はどうやって暮らしをたてたらよいのかわからず、大いに困って立ち去り、一日中歩き、とうとう夕方には森に入りました。暗くなると明かりが見えて、近づいていくと、魔女が住んでいる家につきました。「どうか一晩泊めてください、それと少し食べ物と飲み物をください。」兵士は魔女に言いました、「そうしないと私は飢え死にしてしまいます。」「おや!」と魔女は答えました、「逃げてきた兵士に誰が食べ物をやるかね?だけどまあ、かわいそうだから、私の望むことをやるなら、入れてやってもいいよ。」「何をして欲しいんですか?」と兵士は言いました。「明日、私の庭の周りをぐるりと掘って欲しいのさ。」兵士は承知し、次の日、力いっぱい働きましたが夕方までに終えることができませんでした。「十分よくわかるよ」魔女は言いました「今日はこれ以上やれないとね。だけ
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わがままな子供
昔、頑固で母親が望んだことをどうしてもやらない子供がいました。そのため神様はその子供を好まなくて病気にさせました。医者はだれもどうしようもなくまもなく子供は死の床につきました。子供が墓に下ろされ、土がかぶせられたとき、突然子供の腕が出てきて上に伸び、中にいれてまた新しい土をかけました。それはまったく無駄で、必ず腕はまた出てきました。それで母親自身が墓に行くしかなくなって、その腕を棒で打ちました。すると、腕は中へ引き込まれて、やっと子供は地面の下で安らかになりました。
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三人の軍医
自分たちの腕前は完璧だと思っている三人の軍の外科医が世の中を旅していました。そして、一軒の宿に着き、そこで泊ろうと思いました。宿の主人は、どこから来なすった?どちらへいらっしゃるつもりですか、と尋ねました。「私たちは世の中を歩き回って腕試しをしているのです。」「どんなことがおできなのか一度見せてくださいよ。」と主人は言いました。すると最初の外科医が、私は自分の手を切り落として、次の朝早くまたつなげてみせます、と言いました。二番目の外科医は、私は自分の心臓をとりだして、次の朝戻します、と言いました。三番目の外科医は、私は自分の両目をえぐりだして次の朝また治してみせます、と言いました。「もしそんなことがおできなら」と主人は言いました。「みなさんは何もかも覚えなすったんですね。」しかし、三人は塗って体をくっつけることができる軟膏をもっていて、いつも小さなびんに入れて持ち歩いていたのです。それから三人は言った通りに自分たちの体から手と心臓と両目を切りとり、みんな一緒に一枚の皿におき、その皿を宿の主人に渡しました。主人はそれを戸棚に入れて大事にするようにと女中に渡しました。 ところが、その娘には
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シュヴァーベンの七人男
昔、七人のシュヴァーベン人が一緒になりました。最初はシュルツさん、二番目はジャックリ、三番目はマルリ、四番目はジェルグリ、五番目はミケル、六番目はハンス、七番目はバイトリでした。七人はみんな世界を旅してまわり、冒険を求め、偉大なことをなしとげようと決心しました。しかし、安全に武器を手にしていくためにただ一本ですが、とても強力でとても長い槍を作ってもらうのがよかろうと考えました。この槍を七人が一緒に持ちました。先頭は、一番度胸があり勇敢な人、それはシュルツさんでした。他のみんなが一列になって続き、バイトリが一番最後でした。 七月のある日のことでした。七人はもう長いこと歩きましたが、泊ることができる村に着くまではまだ長い道のりがありました。たそがれ時に草原にいたので、大きなカブトムシかスズメバチがやぶのかげから出て七人のそばを飛び、脅すようにブンブン羽音をたてました。シュルツさんはとても驚き、槍を落としそうになって、体じゅうびっしょり冷や汗をかきました。「しっ、耳を澄まして!」とシュルツさんは仲間に叫びました。「わっ、太鼓の音が聞こえるぞ。」シュルツさんの後ろで槍を握っていたジャクリは、鼻
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三人の見習い職人
昔、三人の職人がいました。三人は旅の間いつも一緒にいて、いつも同じ町で働くことに決めていました。ところが、あるとき親方に三人に渡す仕事がもう無くなり、とうとう三人はぼろを着て、食っていくものがなくなってしまいました。それで一人が、「どうしようか?ここにはもういられないよ。また旅に出よう。それで行った町で仕事が見つからなかったら、そこの宿の主人に頼んで、いつもお互いのことを知っているように、おれたちがどこにいるか書いて言っておこう。それから別れることにしよう。」と言いました。他の二人にもそれが一番いいように思われました。 三人は出かけて、途中でりっぱな服を着た男に会い、男は、お前さんたちは誰だね?と尋ねました。「私たちは仕事を探している職人です。今まで三人一緒にいたのですが、もしやることが見つからなければ、別れようと思っているんです。」「その必要はないよ。」と男は言いました。「私が言うことをやってくれれば、金や仕事に事欠かなくさせてやるよ。いや、大だんなにして馬車を乗りまわすようにするさ。」一人の職人が、「おれたちの魂と天国行きが危うくならないんなら、やっていいとも。」と言いました。「そ
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