グリム兄弟のほとんどテイルズ

グリム兄弟 - 最も人気のある

1

ヘンゼルとグレーテル

ヘンゼルとグレーテル大きな森のすぐ近くに、木こりが、おかみさんと子供たちと一緒に住んでいました。男の子はヘンゼルで女の子はグレーテルという名前でした。木こりにはほとんど食べるものがなく、その土地に大飢饉が見舞ったとき、もう毎日食べるパンさえ得られませんでした。木こりは夜ベッドに寝てこれを考え、心配で寝返りをうちながら、呻って、「おれたちはどうなるのかな?自分たちの分ももう何もないのにどうやって可哀そうな子供たちに食べさそうか?」と言いました。「あんた、こうしたらどう?」とおかみさんは答えました。「明日の朝早く子供たちを森の木の一番茂っているところへ連れていくの。そこで子供たちに火をたいてあげて、一人ずつもう一つパンをあげるでしょ。それから私たちは仕事に行って子供たちをおいておくの。あの子たちは家へ帰る道がわからないだろうから、縁を切れるわよ。」「まさか、おまえ、そんなことしないよ。子供たちを森においてくるなんて我慢ならない。けものがすぐ来て子供たちを引き裂いてしまうだろうよ。」「まあ、ばかね。それじゃあ私たち4人とも飢えて死んでしまうよ。あんたは私たちの棺桶の板にかんなをかけた方がいいよ。」それでおかみさんはしつこく言い続け、木こりはとうとう承知してしまいました。「だけど、やはり子供たちがかわいそうだなあ」と男は言いました。 二人の子供たちもお腹がすいて眠れないでいました。そして継母が父親に言ったことメルヘン 読む →
2

いばら姫

いばら姫昔、子供ができなくて、毎日「ああ、子供がいればなあ」と言っていた王様とお后さまがいました。しかしあるときお妃さまが水浴びしていると、蛙が水から陸にあがり、「あなたの望みはかなえられますよ。1年経たないうちに娘が産まれます。」と言いました。 蛙の言ったことが本当になり、お后さまはとても可愛い女の子を産みました。王様は喜びを抑えられなくて、大宴会を開くことを命じました。そして親戚や友達や知人だけでなく、やさしく子供によい運をつけるようにと賢い女の人たちも招きました。この王国には13人の賢い女の人たちがいましたが、食事を出す金のお皿が12人分しかなかったので一人は家に残さなければなりませんでした。 宴会はとても豪華に開かれ、終わりになったとき、賢い女たちが赤ちゃんに魔法の贈り物を授けました。一人は美徳を、別の人は美しさを、3人目は富を、等々、人がこの世で望むあらゆるものを授けていきました。 11人の賢い女が約束を言い終えたとき、突然13人目の賢い女が入ってきました。招待されなかったので仕返ししようと思ったのです。挨拶もしないで、誰も見もしないで、大声で「王様の娘は15歳のとき紡錘に刺され、倒れて死ぬのだ。」と叫びました。それから、もう一言も言わないで、向きを変えると、部屋を出て行きました。 みんながショックを受けましたが、12人目の賢い女の人は、まだ願掛けを言わないで残っていたので、前にメルヘン 読む →
3

ラプンツェル

ラプンツェル昔、長い間子供に恵まれない夫婦がいました。が、とうとう妻は神様が願いをかなえてくれる望みをもちました。この人たちの家の奥に素晴らしい庭がみえる小さな窓がありました。そこは最も美しい花とハーブでいっぱいでした。しかし、そこは高い塀で囲まれていて、魔女のものだったので誰もあえて入ろうとはしませんでした。その魔女は大きな力を持っていて、世界全体に恐れられていたのです。 ある日、妻は窓のそばに立ち、庭を見下ろしていました。するとそのとき、とても美しいカブラギキョウ(ラプンツェル)が植えられている花壇が目に入りました。それはとてもみずみずしい緑だったので欲しくなり、どうしてもいくらか食べてみたくてたまりませんでした。この欲求は日増しに強くなり、少しも手に入れることができないと知っているので、妻は とてもやつれて、顔色がわるく、惨めにみえました。それで夫は驚いて、「どうしたんだい?お前」と尋ねました。「ああ、家のうらの庭にあるカブラギキョウをたべられなくちゃ死んでしまうわ。」と妻は答えました。 男は、妻を愛していたので、(妻を死なせるより前に、どんな犠牲を払っても、自分でカブラギキョウをとってこよう)と思いました。それで、たそがれ時になると、塀を越えて魔女の庭に這い下り、急いでひとにぎりのカブラギキョウをつかみとり、妻のところに持っていきました。妻はすぐにサラダをこしらえ、がつがつとそれを食べメルヘン 読む →
4

シンデレラ

シンデレラ金持ちの妻が病気になり、最期が近づいていると感じたので、たった一人の娘をベッドのそばに呼んで、「愛するわが子よ、良い子で神様を信じているんですよ。そうすれば神様がいつもお前を守ってくれます。私は天国からお前を見下ろしてお前の近くにいますからね。」と言いました。それで目を閉じ、亡くなりました。毎日娘は母親の墓に出かけては泣きましたが、信心深く善良なままでした。冬が来て雪が墓の上に白い覆いを広げ、春の太陽がまたその雪を溶かす頃には、男は別の妻をもらいました。 その女は家へ二人の娘を一緒に連れてきました。、娘たちは顔は美しくきれいでしたが、心は汚く真っ黒でした。それから可哀そうな継子の辛い時期が始まりました。「間抜けが私たちと一緒に居間に座っていていいの?パンを食べたい人は稼がなくちゃね。台所女中は外よ。」と二人は言いました。二人は娘からきれいな服をとりあげ、娘に古い灰色の上っ張りを着せ、木の靴をはかせました。「高慢な王女様をみてごらん。なんておめかししているの。」と叫んで笑い、娘を台所に連れて行きました。そこで娘は朝から晩まで、辛い仕事をしなければなりませんでした。日の出前に起き、水を汲み、火をおこし、料理洗濯をしました。 これに加えて二人は考えられるかぎりの意地悪をしました。娘を嘲り、灰の中にエンドウ豆やレンズ豆をまいたので、娘がもう一度座って豆を拾い上げねばなりませんでした。疲れるメルヘン 読む →
5

赤ずきん

赤ずきん昔、かわいい小さな女の子がいました。誰でもその子を見ると可愛がりましたが、特におばあさんが一番で、子供にあげないものは何もないほどの可愛がりようでした。あるときおばあさんは赤いビロードの頭巾をあげました。その頭巾は子供にとてもよく似合ったので子供は他のものをかぶろうとしなくなり、それでいつも赤頭巾ちゃんと呼ばれました。 ある日、おかあさんが赤頭巾に言いました。「おいで、赤頭巾、ここにケーキが一つとワインが一本あるわ。おばあさんのところへ持って行ってちょうだい。おばあさんは病気で弱っているの。これを食べると体にいいのよ。暑くならないうちにでかけなさい。行くとき、ちゃんと静かに歩いて、道をそれないのよ。そうしないと転んでビンを割って、おばあさんは何ももらえなくなるからね。部屋に入ったら、お早うございます、と言うのを忘れちゃだめよ。ご挨拶の前にあちこち覗き込んだりしないでね。」「よく気をつけるわ。」と赤頭巾はお母さんに言って、約束の握手をしました。 おばあさんは村から1.5キロ離れた森に住んでいて、赤頭巾が森に入ったちょうどそのとき、狼に会いました。赤頭巾は狼が悪いけものだと知らなくて、まったくこわがりませんでした。狼は言いました。「こんにちは、赤頭巾ちゃん。」「ご親切にありがとう、狼さん」「こんなに早くどこへ行くんだい、赤頭巾ちゃん?」「おばあさんのところよ。」「エプロンには何が入ってメルヘン 読む →
6

かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ

かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ人の願いがまだ叶っていた昔、一人の王様が住んでいました。娘たちはみな美しく、とりわけ1番下の娘はとても美しかったので、沢山のものを見てきた太陽もその娘の顔に光を当てたときはいつも驚くばかりでした。王様のお城のすぐ近くに大きな暗い森があり、その森の古いライムの木の下に泉がありました。暖かい日にはその王様の子供は森にでかけ、涼しい泉のそばに座り、飽きてくると金の玉をとり出し、高く放り投げてつかまえました。この玉がお気に入りの遊び道具でした。 あるとき、金の玉は、王女さまがつかまえようとのばしていた小さな手に落ちてこないで、その向こうの地面に落ち、水の中に転がっていってしまいました。その玉は目で追いかけましたが、消えてしまいました。その泉はとても深いので底が見えませんでした。それで王女さまは泣き出し、だんだん大声で泣きましたがなぐさめられませんでした。こんなふうになげいていると、誰かが「お姫さま、どうして泣いてるの?石だってかわいそうに思うくらいに泣いてるもの。」と言いました。 その声の来たほうに顔を向けると、蛙が大きな醜い頭を水から伸ばしているのが見えました。「まあ、蛙さん、あなただったのね。私の金の玉がなくなって泣いてるの。泉の中に落ちちゃったの。」と王女さまは言いました。「静かにして、泣かないんだよ。助けてあげるよ。だけどもし僕が君のおもちゃを持ってきたら君は何をくれる?」と蛙は答メルヘン 読む →
7

ブレーメンの音楽隊

ブレーメンの音楽隊ある男がロバを飼っていました。このロバは何年も疲れ知らずに麦の袋を風車小屋まで運びましたが、力がなくなってきて、だんだん仕事に適さなくなってきました。それで主人はえさをやらないのが一番いいと考え始めました。しかし、ロバは風向きが悪いとわかって逃げ、ブレーメンへ行く道を出発しました。そこできっと町の音楽家になれるぞ、とロバは考えました。 しばらく歩くと、猟犬が道に寝て、疲れるまで走ったようにハアハアあえいでいるのに気がつきました。「犬くん、どうしてそんなにあえいでいるんだね?」とロバは尋ねました。「ああ」と猟犬は答えました。「僕は年寄りで、毎日弱くなってきて、もう猟ができないんだよ。主人は僕を殺そうとしたんだ。だから逃げて来たのさ。だけど、どうやって食っていったらいいんだろう?」「いいこと教えようか」とロバは言いました。「僕はブレーメンへ行って、そこで町の音楽家になるんだ。僕と一緒に行って君も音楽家の仕事をしないか。僕はリュートを弾く、きみはティンパニをたたくんだ。」 猟犬は賛成しました。それで二匹で進んで行きました。まもなく、猫に出会いました。猫は三日続きの雨のような顔をして道に座っていました。「これこれ、ひげそりくん、浮かない顔してるね、どうしたんだい?」とロバは尋ねました。 「首が危ないというのに楽しい人がいるかい?」と猫は答えました。「寄る年並みで、歯はすりへって平たくなってメルヘン 読む →
8

白雪姫

白雪姫昔、真冬に、雪が羽のようにチラチラと空から降っているとき、窓のところでお后が縫物をしていました。窓枠は黒檀でできており、縫物をして窓から雪を見ている間に、お后は針で指を刺してしまい、3滴の血が雪の上に落ちました。その赤は白い雪の上できれいに見え、お后は「雪のように白く、血のように赤く、窓枠の木のように黒い子供が欲しいわ…」と思いました。 その後まもなくお后は女の子を産みました。その子は雪のように白く、血のように赤く、髪は黒檀のように黒かったので、白雪姫と呼ばれました。子供が生まれたとき、お后は亡くなりました。 1年過ぎて王様は新しい妻を迎えました。このお后は美しい人でしたが、高慢で気位が高く、他のだれかが自分より美しいのは我慢できませんでした。お后は不思議な鏡を持っていて、その鏡の前に立ち、映っている自分を見て、「鏡よ、壁の鏡よ、この国で一番美しいのは誰?」と言いました。 鏡は答えました。「お后さま、あなたが一番美しい。」 するとお后は満足しました、鏡は真実を言うと知っていたからです。 しかし白雪姫が成長していって、だんだん美しくなり、7歳のときは昼と同じくらい美しく、お后自身より美しくなりました。そしてあるときお后が「鏡よ、壁の鏡よ、この国で一番美しいのは誰?」と尋ねると、 鏡は、答えました。「お后さま、あなたはここの誰よりも美しい。だが、白雪姫はもっと美しい。」 それでお后はシメルヘン 読む →
9

黄金のがちょう

黄金のがちょう三人の息子がいる男がいました。末っ子はアホッコと呼ばれて、事あるごとにさげすまれ、からかわれ、あざ笑われました。 さて、一番上の息子が森へ木を切りにいこうとして、出かける前におなかがすいたり喉がかわいたりしないようにと母親がきれいな甘いケーキと葡萄酒をひと瓶持たせました。 森へ入ると、白髪の年とった小人に会いました。小人は「こんにちは、ポケットからケーキをひとつくれませんか?それから葡萄酒を一口飲ませてください。私はとてもおなかがすいて喉が渇いているのです。」と言いました。しかし、賢い息子は「もしお前にケーキと葡萄酒をあげたら、私のがなくなるじゃないか、あっちへ行けよ」と答えて、小人を残して、行ってしまいました。 しかし、木を切り倒し始めるとまもなく手元が狂って、腕が斧で切れ、家へ帰って包帯をしなければいけなくなりました。これは白髪の小人がやったことでした。 このあと、二番目の息子が森へ入りました。そして、母親は一番上の息子と同じように、ケーキと葡萄酒をあげました。白髪の小人が同じように息子に会い、ケーキを一切れと葡萄酒を一口頼みました。しかし二番目の息子も十分賢く、「お前にあげたら自分のがなくなるよ。あっちへ行け。」と言って、小人をおいて行ってしまいました。ところが罰が遅れないでくだって、木を2,3回打つと、斧は脚にあたり、家に連れ帰ってもらわなければなりませんでした。 それでアメルヘン 読む →
10

小人の靴屋

小人の靴屋第1話 靴屋が自分のせいではないのですが、とても貧しくなってとうとう一足の靴分の皮以外何も残らなくなりました。それで夜に、次の朝作りはじめるようと思った靴を切り取りました。気がとがめていないのでベッドに静かに横になり、神様にお祈りし、眠りました。朝に、お祈りをした後仕事を始めようとしたら、仕事台のうえに2つの靴が出来上がってあったので、ビックリし、どう考えたらよいのかわかりませんでした。靴を手にとってもっとよく見てみたら、1つも悪い縫い目がなく、とてもきれいに作られているので、腕試しをしようと作られたかのようでした。まもなくお客が入ってきて、その靴をとても気に入り、普通よりもっと多く支払いました。それで、そのお金で靴屋は2足分の皮を買うことができました。その皮を夜に切り抜いておき、朝に新鮮な気分で仕事に取りかかろうとしましたが、そうする必要がありませんでした。というのは起きたとき、靴はもう作られていて、買い手たちは文句のつけようがない出来なので、4足分の靴の皮を買うのに十分なお金を払いました。再び次の朝も靴ができていて、それがずっと続きました。靴屋が夜に切り取ったものが朝までに仕上がっていたので、まもなくまともな収入をもち、とうとう金持ちになりました。 さて、クリスマスに遠くないある夜、もう切り取ってしまい、寝る前に、靴屋は妻に、「今夜起きていて、こういうふうに手伝ってくれるのは誰メルヘン 読む →
11

死神の名付け親

死神の名付け親貧しい男に12人の子供がいて、その子供たちをただ養うだけで夜も昼も働かなければなりませんでした。それで13人目の子供が生まれたとき、困ってどうしたらよいかわかりませんでしたが、広い大通りに走り出て、出会った最初の人に名付け親になってもらおうと決心しました。最初に出会ったのは神様で、もう男の心をいっぱいにしているものを知っていました。そして、男に、「貧しい人よ、お前を哀れに思う。私が子供の洗礼をしよう。そしてその子を引き受け、この世で幸せにしよう。」と言いました。男は、「お前は誰だ?」と言いました。「私は神だ。」「じゃあ、お前さんには名付け親になってもらいたくないね。」と男は言いました。「お前さんは金持ちに与え、貧乏人は腹を減らしたままにしておくからね。」こう男は話しました。というのは神様が富と貧しさをどんなに賢く割り当てているか知らなかったからです。それで男は神様から向きを変えて、さらに進んで行きました。 すると悪魔がやってきて、「何をさがしてるんだね?おれを子供の名付け親にすれば、その子にたっぷり金をやり、また世界のあらゆる楽しさも与えてやるぜ。」と言いました。男は、「お前は誰だ?」と尋ねました。「おれは悪魔だ。」「じゃあ、お前さんには名付け親になってもらいたくないね。」と男は言いました。「お前さんは人をだまし、道を踏み外させるからね。」 男がさらに進んで行くと、死神が干からびたメルヘン 読む →
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踊ってすりきれた靴

踊ってすりきれた靴昔、どの娘も他の娘におとらないくらい美しい12人の娘がいる王様がいました。娘たちはみなベッドが並んでいる一つの部屋で一緒に眠っていました。そして娘たちがベッドに入ると王様は戸に鍵をかけかんぬきをしました。しかし、朝に戸の鍵をはずすと、王様は娘たちの靴が踊りですりきれているのがわかり、だれもどうしてそうなるのか発見できませんでした。それで、王様は、娘たちが夜どこで踊っているのか発見した者には娘の一人を妻に選ばせ、自分の死後王にする、但し、申し出て3日3晩のうちに発見できなかったものは命を差し出さねばならない、というお触れを出しました。 まもなく一人の王子が出て、この企てを引き受けると申し出ました。王子は暖かく迎えられ、夜には王女たちの寝室の隣の部屋に案内されました。王子のベッドはそこにおかれ、娘たちがどこへ行っておどるのか見ることになっていました。そしてこっそりと何かしたり他の場所に行かないように娘たちの部屋の戸は開けておかれました。しかし、王子のまぶたは鉛のように重くなり、眠ってしまいました。そして朝目覚めてみると、12人の娘はみな踊りに行ってきていました。というのは靴の底に穴があいていたからです。2日目と3日目の夜も違いがなく、それで王子の頭は情け容赦なくうちおとされました。 このあと他にもたくさんの人が来て、その企てを引き受けましたが、全員が命を落としました。さて、怪我をしてもメルヘン 読む →
13

狼と七匹の子ヤギ

狼と七匹の子ヤギ昔、子ヤギが七匹いる年とった山羊がいて、子供たちを愛する母親がもつありったけの愛で子供たちを愛していました。ある日お母さんヤギは森へ行き、食べ物をとってきたいと思いました。それで子供たちを呼んで言いました。「お前たち、私は森へ行かなくてはいけないの。狼に気をつけるのよ。もし狼が入ってきたら、お前たちみんなを、髪も皮もみんな食べてしまうわ。その悪党はよく変装するの。だけどお前たちはがらがら声と黒い足ですぐ狼だとわかるわ。」子供たちは言いました。「お母さん、僕たちよく気をつけるよ。心配しないで行っていいよ。」それでおかあさんヤギは安心して出かけて行きました。 まもなく誰かが玄関のドアをノックし、言いました。「子供たち、ドアを開けて。お母さんですよ。お前たちにいいものを持ってきましたよ。」しかし子供たちはがらがら声でそれは狼だと知りました。「戸を開けないよ。お前はお母さんじゃないよ。お母さんは柔らかく感じのいい声をしてるんだ。だけどお前の声はがらがらだ。お前は狼だ。」と子供たちは言いました。すると狼は立ち去りお店に行って大きな石灰のかたまりを買い、これを食べて声を柔らかくしました。それから戻ってドアをノックし言いました。「子供たち、ドアを開けておくれ。お母さんだよ。お前たちにいいものを持ってきたよ。」しかし狼は窓に黒い足をのせていて、子供たちはそれを見て言いました。「ドアを開けないよ。おメルヘン 読む →
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ねずの木の話

ねずの木の話今はもうずいぶん昔、二千年は前ですが、金持ちの男がいました。妻は美しく信心深い人で、二人は心から愛し合っていました。しかし、二人には、とても欲しいと望んだけれども、子供ができませんでした。妻は昼も夜も子供をお授けくださいとお祈りしましたがそれでもだめでした。二人の家の前に中庭があり、そこには一本のビャクシンの木がありました。冬のある日、妻はその木の下に立ち、リンゴの皮をむいていましたが、そうしているうちに指を切り、血が雪に落ちました。「ああ」と妻は言い、すぐため息をついて、目の前の血を見て、とても惨めに思いました。「ああ、血のように赤く、雪のように白い子供がいたらいいのに」こうして話している間にとてもしあわせな気分になり、本当に子供が生まれるような気がし、それから家に入りました。 一か月経つと雪が消え、二か月すると一面緑になり、三か月経つと花が咲き、四か月すると森の木々の緑が濃くなり緑の枝が密にからみあい、鳥たちがさえずりその声が森にこだまし、花が木から落ちました。五カ月経って、妻はビャクシンの木の下に立ちました。その木はとても甘い香りがして妻の心が躍りました。妻は膝まづき、喜びに我を忘れました。六ヶ月目が終わるころ、実が大きくりっぱになってその時は妻はとても静かになりました。7ヶ月目にビャクシンの実をとってがつがつ食べましたが、その後、病気になり悲しそうでした。8ヶ月目が過ぎて、メルヘン 読む →
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猫とねずみとお友だち

猫とねずみとお友だちある猫がはつかねずみと知り合いになり、猫がねずみに、あなたをとても好きだし友達になりたいんだ、としきりに言ったので、とうとうねずみは猫と一緒に暮らし家事をすることを承知しました。「だけど、冬に備えなくてはいけないね。そうしないとひもじい思いをするよ。」と猫は言いました。「それでネズミくん、君はあちこち出歩けないよ。そうしないといつか罠にかかるだろうからね。」 親切な忠告に従い、一壺の脂肪を買いましたが、その壺をどこに置いたらいいかわかりませんでした。だいぶ考えた後、とうとう猫が、「それをしまっておくのに教会よりもよい場所はわからないね。だってそこからは誰もものをとっていかないからな。祭壇の下に壺を置いて、本当に困るまでそれに触らないでおこうよ。」と言いました。 それで壺は安全な場所に置かれましたが、まもなく、猫はそれがとても欲しくなり、ねずみに言いました。「ネズミくん、話したいことがあるんだ。いとこが息子を産んで、僕に名付け親になってもらいたいと頼んでるんだよ。その子は白に茶色のぶちで、洗礼のとき洗礼盤の上で抱くことになっているんだ。今日は出かけさせてくれ。それで君だけでうちのことをやってくれ。」「ええ、ええ。」とねずみは答えました。「もちろん行ってください。それでなにかとてもおいしいものをもらったら、私のことを思い出してくださいね。甘い洗礼の赤ワインを一滴私も飲みたいわ。」 とこメルヘン 読む →
16

雪白と薔薇紅

雪白と薔薇紅昔、人里離れた小さい家に貧しい未亡人が住んでいました。家の前に庭があり、そこには2本のばらの木がありました。そのばらの木の一本には白い花が、もう一本には赤い花が咲きました。この人には二本のばらの木のような子供が二人いて、一人は雪白、もう一人はばら紅と呼ばれました。二人は善良で幸せで、よく動き、明るい子供で、世界を探してもこんな二人はいないと思われました。ただ雪白の方がばら紅より静かでおとなしいといえました。ばら紅は花を捜したりチョウをつかまえたりして草原や野原を走り回る方が好きでしたが、雪白は母親と一緒に家にいて、家事を手伝ったり、何もすることがないときは母に本を読んであげたりしました。二人の子供たちはお互いが大好きだったので、一緒に外に出るときはいつもお互いの手を握っていました。そして雪白は「私たちはお互いを離れないわ」と言い、ばら紅は「生きてる限りずっとね。」と答え、母親は、「一人が持ってるものをもう一人と分かち合うのよ」と付け加えるのでした。 二人はよく二人だけで森を走り回り、赤イチゴを摘みました。二人に危害を加える獣はいなくて、信用して二人に近づいてきました。子ウサギは二人の手からキャベツの葉を食べ、ノロジカは二人のそばで草を食べ、牡鹿はふたりのそはで楽しそうに跳ね、鳥たちは枝にじっとして知っている歌を歌いました。森にずっと遅くまでいても、何の災難も二人におきませんでした。メルヘン 読む →
17

聖母マリアの子供

聖母マリアの子供大きな森のすぐ近くに木こりの夫婦が住んでいました。子供は一人だけで、3歳の女の子でした。しかし、夫婦はとても貧しかったのでもう毎日食べるパンがなくなり、どうしたら子供に食べ物を手に入れられるかわかりませんでした。ある朝、木こりは悲しみにくれながら森の仕事にでかけました。そして木を切っていると、突然、頭に輝く星の冠をつけている背の高い美しい女の人が前に立ち、言いました。「私は聖母マリア、イエス・キリストの母です。お前は貧しく困っていますね。子供を私のところにつかわしなさい。その子を連れて行き、母となり、世話をします。」木こりはその言葉に従い、子供を連れていき、聖母マリアに渡しました。そして聖母は子どもを天国へと連れていきました。天国で子供は順調に生活し、砂糖菓子を食べ、甘いミルクを飲みました。また服は金でできており、天使たちと遊びました。 娘が14歳になったある日、聖母マリアは呼んでいいました。「子供よ、私は長い旅にでかけます。だからお前が天国の13の扉の鍵を管理するのです。このうちの12の扉は開けて中にある栄光を見てもいいです。しかし13番目は、この小さな鍵はその扉のものですが、開けるのを禁じます。開けないよう注意しなさい、さもないとお前に不幸がふりかかります。」娘は従うと約束しました。 そして聖母マリアが出かけていなくなると、娘は天国の部屋を調べ始めました。毎日一部屋ずつ開けていメルヘン 読む →
18

ルンペルシュティルツヒェン

ルンペルシュティルツヒェン昔、貧しいけれど、美しい娘がいる粉屋がいました。さて、この粉屋がたまたま王様のところに行き、話すことになりましたが、自分を重要にみせるために、「私にはわらを紡いで金にできる娘がいます。」と王様に言いました。王様は「それは、とても気にいる技だな。もし娘がお前が言うように賢いなら、明日宮殿に連れて来い。テストしてみよう。」と粉屋に言いました。 そして、娘が連れて来られると、王様はわらがまったくいっぱいある部屋に連れて行き、糸車と巻き枠を渡し、「さあ、仕事にかかれ、もし夜の間にこのわらを紡いで明日早朝までに金にしなければ、お前は死ななければならん。」と言いました。そうして自分で部屋に錠をかけ、娘をひとり部屋に残しました。それでそこで可哀そうな粉屋の娘は座り、どうしたら命が助かるか判らなく、またわらを紡いで金にする方法も見当がつかないので、だんだん恐くなり、とうとう泣き出しました。 しかし、突然ドアが開き、1人の小人が入ってきて、「今晩は、粉屋の娘さん、どうしてそんなに泣いているの?」と言いました。「ああ、わらを紡いで金にしなければならないの。でもどうやるのかわからないのよ。」と娘は答えました。「何をくれる?」小人は言いました、「もしそれをやってあげたら?」「私の首飾りよ。」と娘は言いました。小人は首飾りを受け取り、糸車の前に座り、グル、グル、グルと3回転すると、巻き枠はいっぱいになりましメルヘン 読む →
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星の銀貨

星の銀貨昔、父も母も亡くなった小さな女の子がいました。とても貧しかったのでもう住む部屋も、眠るベッドもなくなり、とうとう着ている服と、手に持っている情け深い人がくれた少しのパンだけになりました。それでも、この子は善良で信心深い子でした。世間全般からこのように見捨てられたので、神様を信じて野に出ていきました。すると、貧しい男に出会い、その人が「ああ、何か食べるものをください。とてもおなかがすいてるのです。」というので、パンを全部手渡し、「神様があなたを祝福してくださいますように。」と言って先へ進みました。すると、子供が来て、呻いて、「頭がとても冷たいのです。何か頭をおおうものをください。」と言いました。それで女の子は頭巾を脱いでその子にあげました。さらに少し進むと、上着を着ていなくて寒さで凍えている別の子供に出会いました。それで、女の子は自分の上着をあげました。また少し行くと、ドレスを欲しがる人がいて、女の子はそれもあげました。とうとう森に入り、もう暗くなってしまっていました。そしてまた別の子供がきて、シャツを欲しがりました。それで善良な小さい女の子は心の中で、「暗い夜で、誰にも見えないわ。シャツをあげても大丈夫よ。」と考えて、脱ぎ、それもあげました。そうして、何一つ残らず、立っていると、突然天から星が落ちてきました。その星は固い滑らかな硬貨だったのです。そしてシャツをあげたばかりだったのにメルヘン 読む →
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白蛇

白蛇昔、知恵があることで国中に評判の王様が住んでいました。王様が知らないことは何もなく、まるで最も秘密なことがらが空中から王様に伝わってくるかのようでした。しかし、王様には奇妙な習慣があり、毎日夕食後、食卓が片付けられ誰もいなくなると、信頼のおける家来がもう一つ料理を持ってこなければならないのでした。しかしその料理はふたをされ、その家来ですら中に何が入っているのか知りませんでした。また他の誰も知りませんでした、というのは王様は全く一人きりになるまでそれを食べるために決してふたをとらなかったからです。 この習慣が暫く続いたある日、家来は、料理を運んでいて、どうしても好奇心をおさえきれなくなって自分の部屋に料理を運びました。用心深くドアに鍵をかけたあと、ふたを持ち上げてみると、皿の上に一匹白い蛇がのっていました。しかし、家来は、その蛇を見ると、食べて味わってみたい気持ちをおさえられず、小さい一切れを切りとって口に入れました。その切り身が舌に触れるや否や、窓の外から小さい声の奇妙なささやきが聞こえてきました。行って耳をかたむけると、スズメがぺちゃくちゃ野や森で見たあらゆることについて話し合っているのでした。蛇を食べたことで動物の言葉を理解する力がついたのでした。 偶然にも、まさにこの日、お妃さまがもっとも美しい指輪を失くして、この家来はどこへ行くことも許されていたので、泥棒の疑いがかかりましメルヘン 読む →
21

七羽のカラス

七羽のカラス昔、息子は7人いるのに、どんなに望んでも娘は1人も生まれない男がいました。とうとう再び妻のお腹が大きくなり、生まれてみると女の子でした。喜びは大きかったのですが、子供は病弱で小さかったので、その弱さのため個人で洗礼をうけさせねばなりませんでした。父親は息子の1人を大急ぎで洗礼の水を取りに泉に行かせました。他の6人も一緒に行き、それぞれが一番に水を入れたがったので、水入れが井戸に落ちました。みんなそこに立ち尽くし、どうしたらいいかわからなくて、誰もあえて家に帰りませんでした。なかなか帰ってこないので、父親は我慢できなくなり「悪い子たちだ、何か遊んでいるうちにきっと忘れてしまったに違いない」と言いました。女の子が洗礼を受けないで死ななければいけないだろうと恐れて、怒りにまかせて、「あの子たちがみんなカラスに変えられたらいいのに。」と叫びました。その言葉を言うやいなや、頭上で翼の羽ばたきが聞こえ、見上げると7羽の真っ黒なカラスが飛んで去っていくところでした。 両親はその呪いの言葉を取り返すことはできませんでした。七人の息子を失ってどんなに悲しくても、まだ幾分か小さな娘に慰められました。その娘はやがて健康になり日増しに美しくなっていきました。長い間、娘は自分に兄弟がいたとは知りませんでした。というのは両親は娘の前で息子たちのことを言わないよう注意していたからです。しかし、ある日、誰かが自分メルヘン 読む →
22

ホレのおばさん

ホレのおばさん昔、娘が二人いる後家が住んでいて、娘の1人はきれいで勤勉でしたが、もう1人は醜く怠け者でした。しかし、醜く怠け者の方を、自分の本当の娘なので、はるかにかわいがりました。もう1人は、継子なので、仕事を全部させられ、その家のシンデレラになるしかありませんでした。毎日、可哀そうな娘は道の井戸のそばに座り、指が出血するまで糸を紡ぎに紡いでいました。ある日のことでした。杼(ひ)に血がついたので、そのしみを洗い流そうと井戸の水に浸しました。ところが、手からすべって井戸の底に落ちてしまいました。泣き出して継母のところへ走り、不幸な出来事のことを話しました。 しかし、継母は厳しく叱り、「自分で杼を落としたのだから、自分でとりださなくちゃだめ。」と無慈悲に言うのでした。それで娘は井戸に戻りましたがどうしたらよいかわかりません。悲しい心で、杼を取りに井戸に飛び込み、気を失いました。そして、目を覚まし意識を取り戻すと、太陽が輝き何千もの花が生えているきれいな草原の中にいました。この草原を通っていって、とうとうパンがいっぱい入っているパン焼き釜に着きました。パンは「出して!ああ、出してよ!出して!こげちゃうよ。ずっと前にやけてるんだよ。」と叫んでいるので、近づいてパン用シャベルで次々とパンをとりだしました。 そのあと、また歩いていくと、りんごがいっぱい成っている木に着きました。りんごが「揺らして、揺らしてメルヘン 読む →
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狼と狐

狼と狐狼は狐を従えていました。狼が望んだことは何でも狐はやらされました。というのは狐の方が弱かったからで、できれば主人と喜んでおさらばしていたでしょう。あるとき二人が森を通っていたとき、狼が、「赤狐、何か食べ物をとってこい、でないとお前自身を食っちまうぞ」と言いました。狐は「2匹の子羊がいる農家の庭を知っています。もしよろしければ1匹とりましょう。」と答えました。狼はそれがいいと思い、二人でそこへ行きました。そして狐は子羊を盗み、狼のところへ持っていき、行ってしまいました。狼はがつがつ子羊を食いましたが、一匹では満足しませんでした。それでもう1匹も欲しくなり、それを手に入れるためでかけました。 しかし狼はやるのがとても下手くそだったので、子羊の母が聞きつけ、激しく叫びたてメエメエなくので、農夫たちがそこへ走ってきました。そして狼を見つけ、とても情け容赦なくぶったので、狼は足を引きずり、うめきながら、狐のところへ行きました。「お前はおれをうまくだましやがったな。もう1匹の子羊も欲しかったのに、農夫たちが急にやってきて、おれをめちゃくちゃにぶちやがった。」と狼は言いました。狐は「どうしてあなたはそんな食いしん坊なんですか?」と言いました。 次の日、二人はまた田舎に行きました。食い意地のはってる狼は、もう一度「赤狐、何か食べ物をとってこい、でないとお前自身を食っちまうぞ」と言いました。すると狐メルヘン 読む →
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幸せハンス

幸せハンスハンスは主人に七年仕えました。それで主人に「だんなさま、年季が明けました。もうくにの母のところに帰りたいんです。お手当をください。」と言いました。主人は「お前はかげひなたなくよく働いてくれた。それだけちゃんと手当てもはずむぞ。」と答えて、ハンスに頭と同じくらい大きい金の塊を渡しました。ハンスはポケットからハンカチを引っ張り出し、その塊を包んで肩にかけ、故郷に帰りはじめました。 足を交互に出しながら進んでいくと、馬に乗った人が目にとまりました。元気のよい馬に乗って速く楽しそうに走っていくのです。「いいなあ!」とハンスは大声で言いました。「馬で行くってなんていいんだろう。椅子に座っているようにして、石につまずかないし、靴は擦り減らないし、それで知らないうちに先へ進むんだもんなあ。」馬の乗り手はその声が聞こえて止まり、「やあ、ハンス、じゃどうして歩いているんだい?」とさけびました。「歩かなくちゃいけないんですよ。」とハンスは答えました。「この塊を家に持って行くもんでね。確かに金なんだけど、このせいで頭をまっすぐにあげられないし、肩は痛いし。」「なあ」と乗り手が言いました。「取り変えようか。お前に馬をやろう、お前はその塊を私にくれよ。」「喜んで」とハンスは言いました。「だけど言っておきますよ、あんたはこの塊を這いつくばって運ばなくちゃなりませんよ。」乗り手は降りて金を受け取り、ハンスを馬にメルヘン 読む →
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がちょう番の女

がちょう番の女昔、何年も前に夫を亡くした年とったお后がいました。お后には美しい娘がいて、大きくなるとはるか遠くに住む王子と婚約しました。王女が結婚する時期が来て、遠い国へ旅立たねばなりませんでした。年とったお后は、娘のために多くの金銀の豪華な器、これもまた金銀の装飾品、杯や宝石など王家の嫁入りにふさわしいあらゆる品々を荷造りしました。というのはお后は子供を心から愛していたからです。 お后は侍女もつけてやりました。侍女は王女と一緒に馬ででかけ、花婿に王女を引き渡すことになっていました。旅するための馬がそれぞれありましたが、王様の娘の馬はファラダといい、話すことができました。それで別れの時が来て、年とった母親は寝室に入り、小刀をとって指を切り、血を出しました。それから白いハンカチをもって、そこに三滴の血を落とし、それを娘に渡して、「娘よ、これを大事に持っているのですよ。途中で役にたつでしょうから。」と言いました。 そこで、二人はお互いに悲しい別れを告げ、王女は胸にハンカチをしまい、馬に乗って、花婿のところへでかけました。しばらく行ったあと、王女はやけつくように喉が渇き、侍女に、「馬を降りて、お前がもってきた私の杯をとっておくれ。」と言いました。侍女は、「自分で馬を降りて、腹ばいになって川の水を飲みなさいよ。私はあなたの女中になる気はないの。」と言いました。 それで、とても喉が渇いていたので王女は馬をメルヘン 読む →